年末調整について
年末調整の仕組み
年末調整とは、会社員などの給与所得者がその年に納めるべき「所得税」を確定させる手続きです。
毎月の給与から天引き(源泉徴収)されている税金は、あくまで概算の金額となります。
そのため、1年間の給与総額が決まった段階で、個人の事情(家族構成や保険の支払いなど)を反映して正しい税額を計算し直すことが必要です。
計算の結果、納めすぎていた場合は差額が還付(返金)され、不足していた場合は追加で徴収されます。
税金を軽減する主な「控除」
年末調整で最も重要なのが「控除」の申告です。
個人的な支出や家庭の状況に応じて、税金の対象となる所得を減らすことができます。
【1. 保険料控除】
個人的に支払った保険料が対象です。
- 生命保険: 一般生命保険、個人年金保険、介護医療保険など
- 地震保険: 自宅や家財にかけている地震保険
- 社会保険: 給与天引き以外で支払った国民年金や国民健康保険など
なお、控除を受けるには保険会社から届く「控除証明書」の添付が必要になります。
【2. 家族に関する控除】
配偶者の収入が一定以下の場合、配偶者(特別)控除を利用可能です。
子どもや親などを養っている場合は、扶養控除を利用できます。
【3. 住宅ローン控除】
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合は住宅ローン控除を利用可能です。
なお、2年目以降から利用でき、1年目は確定申告が必要になります。
手続きの流れと還付時期
一般的な年末調整のスケジュールは以下の通りです。
- 10月~11月頃: 保険会社から「控除証明書」が自宅に届く。
- 11月頃: 勤務先から年末調整の書類が配布される。
- 11月下旬~12月上旬: 記入した書類と証明書を勤務先へ提出。
- 12月(または1月): 給与支給時に税額の精算が行われる。
多くの企業では、12月の給与明細に「年末調整還付金」といった項目で、戻ってきた税金が加算されます。
注意:確定申告が必要なケース
年末調整ですべての手続きが完了するわけではありません。
以下のケースに該当する場合は、年明けに自分で「確定申告」をする必要があります。
- 医療費控除: 年間の医療費が高額(原則10万円以上)になった場合
- ふるさと納税: 「ワンストップ特例制度」を利用していない場合
- 副業所得: 副業の所得が年間20万円を超える場合
まとめ
年末調整は、会社員にとって1年に1度の税金の決算です。
特に生命保険や地震保険などの「保険料控除」や、家族の変更に伴う申告は、税額に大きく影響します。
提出期限を守り、証明書の添付忘れがないよう、早めに準備を進めましょう。
