雇用保険制度について
雇用保険は、失業・出産・介護などのさまざまな場面で私たちの生活を支えてくれる保障です。
雇用保険という言葉を聞いたことがあっても、保障内容はよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、雇用保険の加入条件や、給付内容について解説します。
1.雇用保険とは
雇用保険は、働き方に関わらず、条件を満たす労働者が加入する社会保障制度の1つです。
1人でも人を雇用する企業や個人事業主には、適用条件を満たす労働者の雇用保険の加入が義務付けられています。
雇用保険の加入条件は次の通りです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上あること
- 31日以上の雇用見込みがあること
雇用保険の加入手続きは事業主が行いますが、希望する場合は、労働者自身がハローワークに対して雇用保険加入の必要の有無を確認できます。
2.雇用保険で受けられる給付内容
雇用保険に加入すると、失業・出産・介護などのさまざまな場面で給付を受けられます。
ここでは失業等給付と育児休業給付について見ていきましょう。
2-1.失業等給付
失業等給付は退職した際にもらえる基本手当(失業保険と呼ばれることもある)の他に、大きくわけて求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4つの給付からなります。
基本手当は、就業の意思があるにも関わらず失業の状態にある場合に受給できる給付で、雇用保険の被保険者であった期間や退職理由により支給日数や支給開始日は異なります。
【求職者給付】
求職者給付支援制度は、再就職・転職・働きながらのスキルアップを目指す方を対象に、給付金を受けながら無料の職業訓練や就職サポートが受けられる制度です。
本人の収入が月8万円以下、世帯年収が付き30万以下、世帯全体の金融資産が300万円以下などの要件を満たすと、月10万円の給付金を受給しながら訓練を受講できます。
給付金を受けずに職業訓練のみの受講も可能です。
仕事をしていない離職者、在職者、ともに訓練の受講は可能ですが、どちらも雇用保険被保険者や雇用保険の受給資格の対象外であること、働く意思があることなどが条件です。
【就職促進給付】
就職促進給付には、再就職手当、就業促進定着手当、就業手当などがあります。
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が支給残日数を残して就職した際に、基本手当の残日数に応じて給付される一時金です。
さらに、再就職手当を受け取った方が、再就職先で6か月以上雇用され、かつ6か月間に支払われた1日分の賃金が離職前の賃金より低い場合に就業促進定着手当を受給できます。
就業手当は、再就職手当の対象とならない雇用形態で就業した場合に受給できる手当です。
【教育訓練給】
在職中、または離職してから1年以内の人を対象にした教育訓練給付では、厚生労働大臣の指定する講座受講費の一部が支給される制度です。
対象となる教育訓練は約1万6000講座あり、レベルに応じて3種類に分けられ、それぞれ給付率が異なります。
【雇用継続給付】
雇用継続給付は次の3つの給付からなります。
- 高年齢雇用継続給付
- 高年齢再就職給付金
- 介護休業給付金
高年齢雇用継続給付は、60歳時の賃金の75%以下の賃金で働き続ける60歳以上65歳未満の方を対象にした制度です。
60歳以上65歳未満で再就職した方で、1年以上の雇用見込みがある、再就職前の基本手当受給期間内に再就職し、かつ支給残日数が100日以上あるなどの条件を満たすと、高年齢再就職給付金が受給できます。
介護休業給付は、家族の介護をするために介護休業を取得した雇用保険の被保険者が、休業開始前の賃金の80%未満に低下するなどの条件を満たした場合に支給される給付です。
支給額は、介護休業中に賃金が支払われている場合と支払われていない場合で異なります。
2-2.育児休業給付
育児休業給付には、出生時育児休業給付金と育児休業給付金があります。
【出生時育児休業給付金】
産後パパ育休(出生時育児休業)を産後8週間までの間に最大28日取得する被保険者が、休業開始前2年間の間に賃金支払い日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることなどの要件を満たすと受け取れるお金です。
出生時育児休業を3回に分けて取得した場合の3回目の休業、28日を超えて取得した場合の超過分の休業については支給されません。
1日あたりの支給額は育児休業給付金と同じく「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%」です。
【育児休業給付金】
1歳未満の子供のいる被保険者を対象にした給付です。
休業開始から180日目までは休業前賃金の67%、181日目以降は休業前賃金の50%が支給されます。
支給期間は原則養育している子供の1歳の誕生日の前々日までですが、父母ともに育児休業を取得するパパ・ママ育休プラス制度を利用すると、最大で子供が1歳2ヶ月になる日の前日まで受給できるケースもあります。
3.まとめ
雇用保険におけるさまざまな給付を受けるためには、各給付の受給要件を満たす必要があります。
手続きについて不明点がある場合は、勤務先を通してお住まいの地区のハローワークに確認しましょう。