高額療養費制度について

高額療養費制度は、日本の公的医療保険の制度のひとつです。
本記事では、医療費の負担を軽減する高額療養費制度について解説していきます。

1.高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、ひと月の医療費の支払いが一定額を超えた場合に払い戻しされる制度です。

日本では国民全員が公的医療保険に加入しており、医療費を一部負担するだけで治療を受けることができますが、治療回数が増えると、支払う医療費も高額になってしまいます。
そのような場合でも、医療費の家計負担が大きくならないように設けられたのが高額療養費制度です。

払い戻しは、高額療養費の申請手続き後、3カ月程度かかるため、入院などで医療費が高額になることがわかっている場合は、加入している健康保険から「認定証」を発行してもらうとよいでしょう。
「認定証」を発行してもらうと、医療機関の窓口での支払いを自己負担上限額までにおさえることができ、後日高額療養費を申請する手間も省けます。

2.自己負担額の上限額

自己負担額の上限は、所得や年齢により異なります。

69歳以下の方の上限額

年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

70歳以上の方の上限

年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
年収約156万円~約370万円 57,600円
Ⅱ住民税非課税世帯 24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金年収80万円以下など) 15,000円

3.自己負担額をさらに軽減する仕組み

高額療養費制度では、世帯合算や多数該当などを使うと、自己負担額の軽減が期待できるでしょう。

3-1.世帯合算

世帯合算では、家族でひと月に支払った医療費を世帯で合算できる制度です。
一人分では高額療養費の支給対象とならなくても、合算することで自己負担額の上限を超えると、超えた分が支給されます。

ただし、合算できるのは同じ健康保険に加入している家族のみです。
例えば、共働きの夫婦がそれぞれ別の勤務先で健康保険に加入している場合は合算できません。

3-2.多数該当

多数該当とは、同一世帯で過去12カ月以内に3回以上、自己負担上限額に達した場合、4回目からは上限額が下がる制度です。

4.まとめ

高額療養費制度は、医療費が高額になった場合に、自己負担額を超えた分を払い戻してくれる制度です。
自己負担上限額は、年齢や所得により異なります。

医療費の負担が大きくならないように、認定証、世帯合算、多数該当など様々な制度があるので、いざという時のために確認しておきましょう。