公的医療保険制度とは

日本では、病気やケガで病院を受診する際に保険料を提示すると、原則医療費の3割負担で治療を受けることができます。
残りの7割については、公的医療保険として支払う毎月の保険料によってまかなわれています。

公的医療保険という言葉を一度は耳にしたことがあっても、内容についてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公的医療保険の特徴、医療費の自己負担割合、高額療養費制度について解説していきます。

1.公的医療保険制度の特徴

日本の公的医療保険は、会社などに勤めている人が加入する被保険者用(健保、共済)、自営業やフリーランスの人が加入する国民健康保険、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の大きく3つに分けることができます。
他国の医療保険制度とは異なり「国民皆保険」「フリーアクセス」を採用している点が特徴です。

1-1.国民皆保険

日本は、国民全員を公的医療保険で保障する国民皆保険制度を取り入れており、前述した健保や国保、共済などのいずれかの公的保険へ加入する必要があります。
日本が世界最高レベルの平均寿命と保険医療水準を実現しているのは、国民皆保険制度のおかげといえるでしょう。

1-2.フリーアクセス

日本では、風邪の時は内科、ケガの時は外科など、症状に合わせて受診する病院を選べます。
しかし、イギリスなどの諸外国ではそうではありません。
初診時にあらかじめ登録した医師に診察してもらう「かかりつけ医制度」の場合、まずはかかりつけ医を受診して、必要に応じて専門医や専門機関を紹介してもらう流れになります。
医療機関を自由に選べる「フリーアクセス」は日本の公的医療保険制度の大きな特徴といえるでしょう。 

2.医療費の自己負担割合

私たちは医療費の一部を負担するだけで治療を受けられます。

病院等で支払う医療費の自己負担割合は年齢により異なり、それぞれの年齢における自己負担割合は以下の通りです。

0~5歳(義務教育就学前) 2割負担
6~69歳 3割負担
70~74歳 2割負担
※現役並み所得とみなされた場合は3割負担
75歳~ 1割負担
※現役並み所得とみなされた場合は3割負担

3. 高額療養費制度の概要

高額療養費制度は、医療費が家計を圧迫しないように、高額になった医療費をカバーする制度です。
すべての医療費を支給するわけではなく、ひと月の上限を超えた分の医療費が支払われますが、入院時の食事負担や差額ベッド代等は含みません。

医療費ひと月あたりの自己負担の上限は、70歳以上であるかどうかや所得により異なります。

69歳以下の方のひと月の上限額(世帯ごと)

年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税世帯 35,400円

70歳以上の方のひと月の上限(世帯ごと)

年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
年収約156万円~約370万円 57,600円
Ⅱ住民税非課税世帯 24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金年収80万円以下など) 15,000円

4.まとめ

私たちは、公的医療保険制度のおかげで、病気やケガの時にも安心して治療を受けることができます。
公的医療保険制度があることで、病院での受診料が1〜3割になったり、医療費が一定額を超えた際に負担してくれたり、さまざまな保障が受けられます。

特に、高額療養費制度は年齢や所得に応じて自己負担額が異なりますので、今一度公的保険制度について確認しておきましょう。