社会保険制度について

社会保険とは、日本に住む全ての人が関わり、生活する上での5つのリスクに備える制度です。
本記事では、誰もが一度は耳にしたことがある社会保険について解説していきます。

1.社会保険は5つのリスクに備える制度

社会保険は、生活する上で誰もが関わる可能性のある、病気・老後・介護・失業・障害などのリスクに備える制度です。
国民一人ひとりがお金を出し合い、リスクに見舞われた人にお金などを支給する、相互扶助の精神により成り立っています。

日本に住んでいる方は、5つの保険のすべてまたはいくつかに必ず加入する必要があります。

1-1.病気のリスクに備える医療保険

医療保険は、日常生活の中で誰もが避けて通れない「病気・ケガ」治療代について一部を、国や地方自治体が負担してくれる制度です。
医療保険は加入対象者により、次の5種類に分類されます。

健康保険 会社員など
国民健康保険 自営業者や扶養されていない家族など
共済組合 国家・地方公務員、教職員など
船員保険 船員
後期高齢者医療制度 75歳以上の人
65~74歳で一定の障害がある人

医療保険には、高額療養制度や傷病手当金、出産手当金などがあります。
主な保障である医療費の一部負担は、年齢により異なる自己負担額は次の表の通りです。

0~5歳(義務教育就学前) 2割負担
6~69歳 3割負担
70~74歳 2割負担
※現役並み所得とみなされた場合は3割負担
75歳~ 1割負担
※現役並み所得とみなされた場合は3割負担

1-2.老後などのリスクに備える年金保険

年金保険は、現役時代に保険料を支払うことで、原則65歳から年金をもらえる制度です。

年金保険は国民年金、厚生年金、企業年金・個人年金(iDeCo)の3階建ての構造からなり、加入対象により3種類の被保険者に分類されます。

被保険者の種類 加入対象者 加入する年金の種類
第一号被保険者 自営業、フリーター、学生、無職の人 国民年金、iDeCo(任意)
第二号被保険者 会社員、公務員 国民年金、厚生年金
企業年金(企業による)
第三号被保険者 会社員や公務員に不要されている
配偶者など
国民年金、iDeCo(任意)

年金保険は長生きした場合だけでなく、大きなケガをした時や、亡くなった際にも支払われます。

1-3.介護のリスクに備える介護保険

介護保険は40歳以上のすべての方が加入する保険で、要介護状態になった時に介護サービスの利用料が安くなる制度です。
年齢により次の2つに区分されます。

●65歳以上(第1号被保険者)
●40歳~64歳まで(第2号被保険者)

実際に介護保険を使うためには、どれくらい介護が必要なのかを専門家に判断してもらう必要があります。
認定段階は、要支援(1~2の2段階)、要介護(1~6の6段階)に分類され、自己負担は原則1割です。

1-4.失業などのリスクに備える雇用保険

雇用保険は、会社員やアルバイトなどで労働時間や雇用日数などの条件を満たした方が加入する保険で、働くのが困難になった場合や失業した際に給付を受けられます。

雇用保険で受けられる給付には次のようなものがあります。

●失業給付:失業した場合に支給される
●育児休業給付金:原則1歳未満の子どもを養育するために休業した場合に支給
●高年齢雇用継続給付金:60歳以上65歳未満で就労を継続するも収入が75%未満になった際に支給
●介護休業給付金:家族の介護のために仕事を休業する際に支給
●教育訓練給付:資格取得のために受講料の一部を支給

1-5.仕事上のけがなどのリスクに備える労災保険

労災保険は、勤務中や通勤中により発生したケガや病気が原因で、医療費がかかった時や休業した際に補償してくれる制度です。

労災保険は会社側に加入が義務付けられているため、保険料は全額事業主負担となります。
正社員に限らず、パートやアルバイトなど賃金を支受け取っている方であれば支給対象です。

労災保険の主な補償内容は次の通りになります。

●療養補償給付:ケガや病気が完治するまでの治療費を保障
●障害補償給付:障害が残った場合に一時金や年金を支払う
●休業補償給付:仕事に行けない日の給料の約8割を保障する
●遺族補償給付:亡くなられた場合に、遺族に年金か一時金を支払う
●介護補償給付:介護を受けている間の費用を補償

2.社会保険は健康保険や厚生年金のことを指すことがある

勤務先でよくいわれる「社会保険」とは、健康保険や厚生年金保険を指す場合があります。
正社員に限らず、アルバイトでも週30時間以上の労働、月16.5日以上働くなどの要件を満たすと、社会保険に加入して保険料を支払うケースがあるでしょう。

3.まとめ

社会保険は、私たちが安心して生活できるように、日常生活で起こりうるリスクに備えるための制度です。
医療保険や年金保険のように誰もが必ず加入する必要があるものと、条件を満たした場合に加入すべきものがあります。

5つの保障内容を今一度確認しておきましょう。